つばさ基金とは
つばさが行う法人後見に必要な費用の捻出が困難な人に使用することを目的に設立しました。「つばさ基金規約」に従って、資金が必要な場合には積極的に支出していきます。
例えば……
<1>
つばさが行う法人後見の報酬について、
成年後見制度利用支援事業の対象外で
被後見人等の財産から捻出が困難な場合
<2>
つばさが行う法人後見の報酬以外の費用について、
被後見人等の財産から捻出が困難と認められる場合
<3>
その他、基金管理運営委員会が認めた場合
つばさ基金に寄せて
私の10数年間の成年後見人活動でいただいた報酬で100万円のつばさ基金を設立しました。資力の乏しい方の成年後見制度活用に生かしていただければと願っています。以下は、今から9年前に書いた文章です。
須田幸隆(2015.9.25)
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私の「さとうきび畑」
ざわわ ざわわ ざわわ 広い さとうきび畑は
ざわわ ざわわ ざわわ 風が 通りぬけるだけ
この曲は、皆さんご存知の「さとうきび畑」です。フォークシンガーの森山良子さんが歌っています。「さくら」を歌った森山直太朗さんのお母さんです。森山良子さんが初めて歌ったのは、1969年ですから、もうかれこれ40年も昔の話しです。私も若い頃、「この野原いっぱい」「今日の日をいつまでも」と言ったLPレコードを買い集めたことがあります。「さとうきび畑」も知っていました。でも特別の意味を込めて聞いていたのではありません。
今年の5月3日憲法記念日に、車椅子の服部一弘氏が経営する横浜MM21の近くにあるアニミという小さな喫茶店で、車椅子のサックス奏者:渡部昭彦氏のミニコンサートがありました。私も、誘われて参加しました。最後に演奏されたのが、この「さとうきび畑」でした。今度は、特別の意味を込めて聞きました。そして渡部昭彦氏の平和を願う思いに触発されました。
ざわわ ざわわ ざわわ 広い さとうきび畑は
ざわわ ざわわ ざわわ 風が 通りぬけるだけ
むかし 海の向こうから いくさが やってきた
夏の ひざしの中で
ざわわ ざわわ ざわわ 広い さとうきび畑は
ざわわ ざわわ ざわわ 風が 通りぬけるだけ
あの日 鉄の雨にうたれ 父は 死んでいった
夏の ひざしの中で
「さとうきび畑」は、あの沖縄戦を歌った反戦歌です。私の父親の弟つまり叔父もあの沖縄戦で戦死しました。渡部氏は、沖縄でこの曲を演奏してきたそうです。出来たら今年の8月9日、長崎でも演奏したいと言ってました。
私は、1944年(昭和19年)3月19日に東京の下町、深川に生まれました。その深川は、敗戦の年の1945年(昭和20年)3月10日に、アメリカのB29による無差別爆撃を受けます。大空襲です。深川は、全面焼け野原だったそうです。私の家も焼けます。
「疎開」、この言葉はもう死語になってしまったかもしれません。「疎開」とは、空襲を避けて地方へ引っ越すことです。私たちは、母方の祖父たちがいた横浜に疎開します。その横浜にも、1945年5月29日に空襲があります。私たちはまた焼け出されたそうです。ですから、戦争は嫌いです。
私が、最初に渡部昭彦氏に出会ったのは、2004年の秋、MM21の広場で行なわれたある労働組合の祭典でした。出会いを作ってくれたのは、八王子に住む同じ車椅子の看護師:櫛田美知子さんでした。櫛田さんが、岐阜から八王子に移り住むきっかけに私は少しだけ関わっています。この労働組合の議長もたまたま知り合いでした。出会いが出会いを呼んでいます。
渡部氏は、全国で演奏活動を行なっています。いつの日か世界平和を願って、テロで廃墟になったニューヨークのグランドゼロに立つ夢を抱いています。
渡部氏は、毎年四国小豆島の特別養護老人ホームに行きます。その特別養護老人ホームの利用者の一人からグランドゼロでの演奏協力の申出を受けたそうです。これが夢の実現に向けて、一歩を踏み出すきっかけになったようです。夢の実現のため渡部氏と櫛田さんはプロジェクト01(ゼロワン)を設立しました。ニューヨークでの演奏は、2006年10月10日から15日間の予定です。私もこの企画に関わり合いたいと思っています。
実は、私は4年程前から成年後見の補助人の仕事をやってきました。資力がないため引き受け手がないということで、ボランティア覚悟で引き受けたのです。ところが、資力のあることがわかりました。このほど、家裁から報酬として予期せぬ収入を付与されました。わずかな資金ではありますが、その意義ある使い道を考えていましたので、この企画は、私にとってとてもグッドタイミングです。
今私は、プロジェクト01(ゼロワン)の「武器を楽器に替えて」のこの企画に参画したいと願っています。
資金の一部を携えて・・・・。
2006年8月1日 須田幸隆

車椅子のサックス奏者・渡部昭彦氏