2015年4月から、川崎市は成年後見制度利用支援事業要綱を改正しました。
難解な改正川崎市成年後見制度利用支援事業要綱を読むと、次の三点が読み取れます。
(1)預貯金の保有限度額30万円を導入したこと
(2)助成額を切り下げたこと
(3)市民後見人を排除したこと
その結果、特に(1)の導入で、一気に利用者が制限されてしまうのではないか。またそれがこの改正の狙いなのでしょう。このまま他都市に悪影響を及ぼすなら、2001年から各地で一歩一歩積み上げてきたものが、川崎市によって一気に突き崩されてしまうような危機感を抱きます。
これは明らかな権利擁護事業の後退です。文字通り改正ではなく改悪です。
助成は、成年後見人等に対してではなく、成年被後見人等に対して行われます。
日本社会福祉士会発行の成年後見実務マニュアルの冒頭に成年後見制度の理念と成年後見人等の責務が書かれています。そこには、「成年被後見人等の最善の利益を実現するために、成年被後見人等の立場を代弁(アドボカシー)していくものであることをまず認識しなくてなりません」とあります。川崎市の成年後見制度利用支援事業の改悪に対して、専門職団体が声をあげなければ掲げた理念や責務が虚しくなります。助成事業はやっぱり単なる助成です。利用者にしっかり根ざした権利としての仕組みの必要性を一段と実感しました。(2015.04.23)