初代理事長のつぶやき(75)際立つ二人のコメント

初代理事長のつぶやき

お二人のコメントは、促進派と反対派のように一見際立って見えますが、「成立した利用促進法は、内閣府に中央省庁を横断して議論する会議を設け、家庭裁判所の監督体制の強化を含めて制度を設計し直し、推進していく仕掛けを作った。」ので、さあ「介護職や福祉職といった後見人以外の人も意思決定支援に関わる制度構築と、家裁の改革」の議論を始めましょうと私には読むことができます。それが民主主義、法治国家というべきものではないですか。

サービス供給充実を 新井 誠中央大教授(民法)

 成年後見制度が2000年に始まって16年たった。しかし、サービスの供給はいまだ質・量共に貧弱な状況だ。認知症高齢者や精神障害者など制度を必要としている人たちが増加傾向にあるのに、サービスがほとんど届いていない。一方で、後見人による財産の着服や横領が増えている。成立した利用促進法は、内閣府に中央省庁を横断して議論する会議を設け、家庭裁判所の監督体制の強化を含めて制度を設計し直し、推進していく仕掛けを作った。会議での議論を実際の政策に反映していけるか。国の本気度が試される。 

時代逆行的な法律だ 佐藤彰一國學院大法科大学院教授(民事訴訟法)

 家庭裁判所の過重負担に具体的な改革方針を示さないまま成年後見制度の利用を推進しようとしており、障害者権利条約を批准した国としては特異で時代逆行的な法律だ。意思決定支援をスローガンに掲げながら後見人の権限を強め、認知症高齢者や精神・知的障害者など自らの希望を明確に他者に伝えることが難しい人たちの思いがないがしろにされるケースが増えることを懸念する。介護職や福祉職といった後見人以外の人も意思決定支援に関わる制度構築と、家裁の改革にまずは力を入れるべきだ。(2016.04.10)

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