初代理事長のつぶやき(73)成年後見制度利用促進法に思うその3

初代理事長のつぶやき

成年後見制度は単なる財産管理の制度ではないとの認識に立てば、例えば、生活保護受給者でも容易に使える制度でなければならないはずです。私たちが目指すのはそのような制度です。そうであるならば、生活保護法には未整備の部分があります。以下にその部分を紹介します。 

生活保護法の改正意見

(後見人選任の請求)
生活保護法第81条 後見人選任の請求を新規の成年後見人選任の場合にも準用すること。

(理由)
第81条の解釈は、現に成年被後見人であって、後見人の職務を行う者がいない時とされています。一方新規に成年後見人を選任するに当って、その申立者がいない場合には、老人福祉法、知的障害者福祉法、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づき、市町村長が審判の請求をすることができるとされています。
 そのために申立事務の所管は生活保護の所管から離れますが、被保護者についてはその実態を把握している生活保護の所管が、生活保護法に基づき申立事務を進めるのが合理的であり、迅速にできます。その場合、その専任の担当者を配置できればベストです。
なお、判断能力の不十分な方の権利擁護のためには、成年後見制度の活用が不可欠であり、ケースワーカーと成年後見人等との連携強化が求められます。

(後見人等の報酬等の給付)
生活保護法第12条 後見人等の報酬等の給付規定を加えること

(理由)
成年後見制度の利用が必要であるにもかかわらず、申立費用や後見人等への報酬の負担が困難で、制度の利用に支障をきたしている者も多くいます。
助成事業である成年後見制度利用支援事業は、必須事業にもかかわらず予算化していない自治体もあり、予算化している自治体でもその内容には差があり不平等です。
旧制度の禁治産・準禁治産制度から近年の社会福祉の理念に即して誕生した新しい成年後見制度は、後見の社会化とも言われています。その重要性、ニーズの高まりを考えると、介護の社会化で介護保険が誕生し介護扶助が創設されたように、後見扶助の創設も考えられますが、立法技術上は生活扶助に後見人等の報酬等の給付規定を設けることの方が容易に実現できるのではないか。

(成年後見人による申請)
生活保護法第7条 申請保護の原則に成年後見人を含めること。

(理由)
意思表示の困難な被後見人の場合には、その法定代理人である成年後見人に申請権を認めるのは、法定代理の趣旨を考えれば自明のことであり、現行は法の未整備とさえ言えます。なおその場合、現在申請権を付与されているその扶養義務者又はその他の同居の親族よりも優先度は高いものです。(2016.04.09)

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