初代理事長のつぶやき(192)国と地方の議論

初代理事長のつぶやき

平成29年度 地方分権改革に関する提案で、岐阜市の奮闘はとても重要です。岐阜市の提案は、「生活保護法第7条を改正し、成年後見人の生活保護申請権を明記すべき」というものです。

この問題の発端は、「代理人による生活保護申請はなじまない」とする厚生労働省保護課長通知です。直後に日本弁護士連合会は新設問答の削除を求める意見書(2009.6.18)を提出しています。

私の見た所、この通知の誤りは、法定代理人まで含めたところにあります。そのことは、この課長問答を直接書いたご本人(横浜市から出向)も認めていました。

先に誤解のないように、ここで問題にしているのは、意思表示のできない方で後見人が選任されている方の生活保護の申請の問題です。意思表示ができる方は本人申請か本人申請の代行で良いのです。また、後見人が選任されていない場合こそ職権保護です。

実は、生活保護第7条の本当の正しい解釈は、法定代理人=本人です。従って、本来生活保護法第7条を改正する必要もないのです。当初福岡家裁の後見人の業務にも入っていました。しかし有権解釈をする保護実施機関が代理申請は不可とするなら、生活保護第7条に書き込めばと私たちも主張するようになりました。その論拠はいくつもあります。今もって厚生労働省は、職権保護を対置させますが、生活保護は申請保護が原則です。職権保護は例外です。行政処分ではありませんから、争う方法もありません。

昨年実際にあった話ですが、後見人は通報者にもなり得ませんと発言した窓口職員がいました。暴論以外のなにもでもありません。昭和25年当時の「生活保護法の解釈と運用」を紐解くと、生活保護第7条で申請権を本人以外に与えたのは、「保護請求権を行使することもできない人がいるからとし、その本人以外とは、本人と一定の法律的関係のある者、法律上本人の利益を守るべき者にのみに限定した」とあります。今でいえば、それは後見人でしょう。

しかし、此の期に及んでもまだ厚生労働省は、代理申立不可、職権保護で対応するとの考えに固執しています。それは何故なのか、別の角度から再検討する必要がありそうです。
①成年後見制度のあり方
②権利の濫用
③生活保護申請サポート、1件5万円

今回の岐阜市による地方分権改革に関する提案の結果、次の事項が導きだされています。
・保護の実施機関が行う職権による保護の開始(25条1項)については、資産がないなど要保護の状態にある成年被後見人が適切に保護されるよう、保護を要するにもかかわらず意思を表示できない場合は、職権をもって保護を開始しなければならないとされている「急迫の場合」に該当することについて、平成29年度中に地方公共団体に通知する。
・要保護者の発見・連絡に関し、保護の実施機関と連携する関係機関として成年後見人が含まれることを明確化するため、平成29年度中に地方公共団体に通知するとともに、その旨を成年後見制度に関係する機関に情報提供する。

国と地方の議論の重要性を改めて認識しました。(2018.07.29)

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