初代理事長のつぶやき(72)成年後見制度利用促進法に思うその2

初代理事長のつぶやき

参議院内閣委員会の審議の過程で、論旨が明快であった共産党の委員が後見人による横領事件に言及されました。提案された公明党の議員は、その原因として後見人の理解不足を挙げていました。確かに横領事件の95%以上は親族後見ですので、その面はあるかもしれません。しかし、共産党の委員は、個人の資質の問題よりも制度の構造的問題を指摘されました。こうした問題は、未然防止策を議論するのが建設的です。続いて、同委員は日本弁護士会が提唱する「成年後見制度から意思決定支援制度へ」も言及されました。

昨年10月1日の日本弁護士会主催の大会では、日本の意思決定支援制度の一つとして、真っ先に横浜市の後見的支援事業を取り上げていました。私たちの法人後見では、この事業とも連携を図っています。しかし、「成年後見制度と後見的支援事業」はあっても、「成年後見制度から後見的支援事業へ」は考えられません。役割が違うからです。

もう一つ審議の過程をみていて、気になることがあります。それは、与野党総ての議員の意識下は、「成年後見制度は財産管理の制度」ではないかと感じられるからです。私たちが取り組むのは、資力の乏しい方々の身上監護です。有産階級の財産管理は私たちの守備範囲外です。その意味では、共産党の委員に取り上げてもらいたかったことがいくつもあります。例えば、報酬等の費用は単なる助成制度でいいのか権利としての給付を求めるべきではないか。禁治産・準禁治産時代の生活保護法はこのままでいいのかなどです。(2016.04.09)

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