初代理事長のつぶやき(18)申立支援

初代理事長のつぶやき

私たちは、必要な人に成年後見制度利用促進が進まない最大の理由は、「申立支援」が貧弱すなわち成年後見制度はデュープロセス(適正手続)が貧弱と考えています。
以前、私たちは申立には四つの壁があると書きました。
1.業務独占の壁
2.行政の縦割りの壁
3.資力の壁
4.引き受け手の壁
それぞれの壁を克服する方法を書きました。

今回明らかになってきた横浜市成年後見制度利用促進基本計画原案を見ると、残念ながら申立支援としてはたった一行書かれているだけです。
「成年後見制度利用支援事業における本人及び親族申立の際の申立費用の助成の検討」

確かに、私たちはかってホームレスの方で本人申立をする際、申立費用(診断書料、鑑定料等)がなくつばさ基金で工面した事例があり、横浜市に改善要望書を提出しています。しかしながら、申立支援で改善が必要なことはこれだけではありません。
私たちの提言は、原案に反映させられませんでしたが次のように書きました。
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72ページ 申立て支援に次の4点を加えてください
■身近な相談窓口の充実
■法テラスとの連携の推進
■区長申立の促進
■横浜市成年後見制度利用支援事業要綱の公開

(理由)
 資力の乏しい方の申立支援では、申立費用助成の整備は必要要件であって十分条件ではないからです。
 地域包括支援センター、基幹相談支援センター、区役所、区社会福祉協議会では、制度利用の相談だけではなく家裁申立の支援も行ってください。

総合法律支援法が改正され、法テラスでは平成30年1月24日から、高齢者・障がい者等で認知機能が十分でない方に対する援助として、「出張」による法律相談が始まっています。資力の乏しい方々の成年後見制度利用促進のためには、法テラスとの連携が不可欠です。

70ページ、現状と課題 成年後見制度 「◆制度利用の面からみると障害者の利用が進んでいない状況です。」とあります。その理由は何でしょうか。
市町村長の審判請求については、老人福祉法、知的障害者福祉法、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律で、「その福祉を図るため特に必要があると認めるときは審判の請求をすることができる」とされています。翻って、区役所の状況をみると、認知症高齢者の区長申立はそれなりに進みます。しかしながら、障害者取り分け知的障害者については、なかなか進まないのが実情です。中には、相談しても3年も4年も放置されている例も見受けられます。実態を検証し、その福祉を図るために必要がある事例が放置(不作為)されることなどないように改善をしてください。

横浜市成年後見制度利用支援事業要綱の公開も求めます。一般的に市民との情報共有、透明化を図ることは言うまでもないことです。然るに横浜市は成年後見制度利用支援事業に関わる情報は、「報酬助成を申請する方へ」と題するチラシだけです。お隣の川崎市を見てもホームページで情報を提供しています。今後、成年後見制度利用支援事業の在り方の議論も必要かもしれませんが、まずは要綱の公開を求めます。
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 今、私たちは次々と家裁申立を行っています。どのようにしたら家裁申立に結びつくのか、制度利用にこぎ着けられるのか、具体的な申立支援をまとめてみるつもりです。(2018.11.27)

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