2000年4月にスタートした新しい成年後見制度は、この4月で20周年を迎えようとしていますが、いち早く(公社)成年後見センター・リーガルサポートでは、3月19日に「成年後見制度の未来」~任意後見制度の利用促進と民事信託~と銘打った講演会を予定しています。その案内には次のように明記されていました。
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任意後見制度は,判断能力の低下した本人の権利を擁護する制度のなかでは最も本人の自己決定を具現化することができる制度として,法定後見制度とともに創設されました。
制度発足時は,法定後見制度と任意後見制度の関係は自己決定尊重の理念から,自ら契約で定めた本人の意思を尊重して,原則として任意後見制度を優先することとされ,家庭裁判所が本人の利益のために特に必要があると認めるときは,例外的に法定後見が開始されることとされています。
この意味で,成年後見制度の中心は,民法の法定後見制度から,任意後見契約法に基づく任意後見制度に移ったと理念的・法制的に考えることになると言われていましたが,その利用は低調なものになっています。
国連障害者権利委員会が2014年4月に採択した「一般的意見第1号」からは,日本の法定後見制度に対し同委員会から厳しい意見が寄せられることが予想されており,そのような意味からも,本人意思が最も尊重される任意後見制度の利用を促進することが重要です。
そこで,このシンポジウムでは,日本の任意後見制度の現状と課題を確認するとともに,利用件数の多い諸外国の任意後見類似制度と比較し,民事信託等の他の制度の検討をあわせて行います。その上で,「利用しやすい任意後見制度」とするための広報・相談機能の在るべき姿,「信頼ある任意後見制度」とするために地域連携ネットワークの構築など第三者の視点を入れることによる適正な任意後見契約の発効,さらに「自らの意思で選ぶ財産管理・身上保護」のために任意後見制度と民事信託がそれぞれに果たす役割についても提言することを目的としています。
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この方向性については、まったく同感です。(2020.02.05)