初代理事長のつぶやき(119)弁護士の解説は妥当か

初代理事長のつぶやき

毎週土曜日の午後にNHKでバラエティー生活笑百科が放映されます。2017年6月17日は、「フリーターは成年後見人なれるか」でした。

<問題設定>
幸一さんは母と二人暮らしだがフリーターで貯金もあまりない。母は、父の遺産でアパートを作った。母は、元気な頃に弟に必要な時は後見人を頼むと言っていた。
最近物忘れなどが酷い母親に成年後見人を決めたほうがいいと、幸一さんは北海道で会社員をしている弟に後見人を頼んだが、弟は近くにいる兄がなればいいと言う。収入が不安定なフリーターでも成年後見人になれるのか?

<相談員回答>
山田花子は、成年後見人になれると予想。特別な資格などはいらずフリーターでも成人していればなれるとコメント。
桂吉弥は、絶対になれないというわけではないが安定した収入がいると裁判所が判断する。また心配症の人が向いているなど述べた。
ゲストのコロッケは、成年後見人になれると予想した。

弁護士の見解は、「成年後見人になれる」という。母に全く判断能力がなくなれば、財産を管理するために家庭裁判所に成年後見人を選任してもらうことができる。また特別な資格は必要ないという。後見を受ける本人の配偶者や親族がよくなることもあるが、争いのある場合や財産関係が複雑な場合は弁護士や司法書士などの専門家がなることもある。ただし成年後見人の職務にふさわしくないという理由で後見人になれないという人間もいて、例えば未成年者、後見人を解任された人、破産した人、後見を受ける本人と訴訟をしている人・訴訟をしたことのある人・その配偶者や直系血族、行方不明の人は欠格事由といい成年後見人になれない。今回の場合のように資産がない・定職についていないということは欠格事由には当てはまらない。

さて、ここからがケースカンファレンスです。本日つばさの担当者会議でした。弁護士の解説を紹介する前に、聞いてみました。14名中、9名ができる。5名ができないでした。私の見解は、できない。正確にはできるが家裁は選任しない可能性が高いです。弁護士は、民法第847条の欠格事由を引用し、それには当てはまらないから「成年後見になれる」と解説しました。妥当な解説でしょうか。私には、むしろ桂吉弥さんの回答の方が妥当のように思えます。弁護士の解説は教科書的過ぎます。その理由は、

①後見人による横領事件の98%は親族後見人です。
②候補者照会書では、候補者の経済状況を明らかにさせています。
③家裁は、7割以上第三者後見人を選任します。
④母には不動産があります。

とすれば、家裁は弁護士か司法書士を選ぶのが普通ではないでしょうか。仮に、長男が選任されるとしても後見監督人に弁護士が選任されるのではないか。以上が実務的、実践的に学んだ「感」です。このような事例の相談を受けたら、申立を慎重にと助言するでしょう。何故なら申立をすれば、長男ではなく見ず知らずの方が選任される可能性が高いからです。(2017.6.17)

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