初代理事長のつぶやき(289)任意後見(不祥事)

初代理事長のつぶやき

厚生労働省成年後見制度利用促進室に設置された専門家会議の中のワーキンググループでも不正防止対策が検討されています。2019年12月26日に行われた会議での議事録の中で次のような不祥事が紹介されています

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「移行型の任意後見契約の運用の実態ということで、リーガルサポートにおいて、任意後見を確認していった中で、最初に出てくるのは平成16年ぐらいだと思いますけれども、会員の中から、1年半で400万円を超す報酬を受領している任意代理。任意代理というのは、通常の委任契約、当事者間だけでの委任契約を申しております。それによって、1年半で400万円を超す報酬を受領する事件がありました。これに関しましては、受任者が司法書士であり、委任者の判断能力が低下している状況にかかわらず、任意代理を続けることによって、委任者の監督がなかなかできないという状況に陥ったことによるものだと考えております。 それ以降、リーガルサポートでは、契約するときに契約の内容を、立ち会いをもって、当事者間とは別にリーガルサポートがチェックする形、あるいは監督人として入って三面契約でやる。三者の契約でやるということを励行しております。

それと同時に、幾つかのポイントを出しております。1つは、(2)以下に書いてありますように、②の、単独で任意代理を締結しない。あるいは、必ず公正証書でする。 ③として、限定的な代理権にする。 ④として、必ず次の条項を盛り込むということで、次のページへ行きますけれども、アとして、判断能力が低下した場合には、速やかに家庭裁判所へ任意後見監督人の申立てをする条項。それと同時に、申立てがされた場合には、任意代理に関する代理権は消滅するという形をとっております。 (3)として、発覚した不正事案を考察しますと、まず手持ち資金、小口現金から着手して、後ほど誰も見ていない任意代理で管理している財産に着手する。その後、任意後見あるいは法定後見といった管理監督があるものに移るというケースがあります。管理監督がある者に移るときには、そこには必ず改ざんが生じております。こういったところで、最初に着手するのが任意代理というところがままありますので、ここに関して、今後、不正が発効するときの抑止に対しては、そこに注力する必要があるのではないかと考えております。」(2020.02.05)

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