佐藤彰一教授の見解の中に次の一文がありました。
「制限的行為能力の概念は、日本の民法制度の中心的概念である。現在の成年後見制度の抱える課題を整理しようとすれば、ここにメスを入れなければならないことは法律家であれば誰でもわかることである。訴訟法上は行為無能力の概念が未だに通用しており、司法制度の中で障害者や高齢者の手続権は、確保されていない。
そして、成年後見制度の実施主体は、家庭裁判所であり、その手続を規律するものは、家事事件手続法である。裁判所の見解では、家事事件手続法には憲法上の「裁判を受ける権利」保障の適用がなく、もともと職権的で裁量的な要素が強いが、そのことを横に置いたとしても、、、、」
家事事件手続法には、次の様な規定があります。
(手続行為能力)
第百十八条 次に掲げる審判事件(第一号、第四号及び第六号の審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)においては、成年被後見人となるべき者及び成年被後見人は、第十七条第一項において準用する民事訴訟法第三十一条 の規定にかかわらず、法定代理人によらずに、自ら手続行為をすることができる。その者が被保佐人又は被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。)であって、保佐人若しくは保佐監督人又は補助人若しくは補助監督人の同意がない場合も、同様とする。
一 後見開始の審判事件
私たちは、本人申立を重視しています。既に7件の本人申立(後見3件 保佐3件 補助1件)が実現しています。今、新たな課題(申立費用さえ保障されていないホームレスの本人申立)に向けて準備を進めています。きっと道が拓けると信じています。(2016.05.09)