2018年5月31日、裁判所の会議で使われた資料を次のページで読むことができます。この資料は、弁護士が開示請求して最高裁から得た資料のようです。 この資料を読むと、今後の成年後見制度の運用について、裁判所は既にここまで考えていたのかと驚きを禁じ得ません。もっともその方向性は、私たちが長年考えてきたことと軌を一にしています。
国の成年後見制度利用促進基本計画策定に先立つパブリックコメントで、私たちは次のように提案しました。「成年後見制度の基本的あり方」について
提言
①家庭裁判所の財産管理中心の考え方を抜本的に改めること
②後見業務では、付加扱いの身上監護を財産管理と同等の扱いとすること
㉑家裁は、審判業務のみに従事すること
㉒監督業務は、家裁の選任する監督人及び行政の福祉部門が担うこと
これからの成年後見制度は、裁判所、行政、民間の三位一体で進めていくべきものです。
裁判所の資料では、
「成年後見制度は認知症高齢者や障害者の生活を支えていくためのもので、裁判所で全てを抱えることは困難であり、裁判所・後見人・専門職・福祉行政の役割分担と連携の視点が重要」とありました。「裁判所の役割は、後見人の適格性・交代の判断、権限逸脱・濫用の有無の判断」としています。「本人にとって最も望ましい財産の使い道を考えるのは、後見人の役割」、「判断に悩む後見人に助言等をするのは福祉行政の役割」としています。
まったく同感です。しかし福祉行政の意識はそこまで到達していないと思います。行政の問題は、同時に政治の問題です。裁判所の考えを実現していくには、結局「政治の力」が必要ではないのか。
後見関係事件事務打合せ(配布資料)
【資料1】基本計画を踏まえたそれぞれの役割
【資料2】予想される市町村の動きと家裁との連携イメージ
【資料3】これまでの家裁の対応の振り返り
【資料4】「監督」と「支援」の関係について
【資料5】後見人からの相談事例とこれからの家庭裁判所のアプローチ
【資料6】マッチング支援と後見人支援の機能充実に向けた専門職と自治体の協働のイメージ
【資料7】マッチング支援と後見人支援の始め方と広げ方のイメージ
【資料8】親族後見人支援を中核に据えた選任イメージ
【資料9】新たな後見報酬算定に向けた考え方(案)
【資料10】成年後見制度利用促進基本計画を踏まえた家裁と市区町村との連携状況
【資料11】 成年後見制度利用促進基本計画を踏まえた取組における家連協や家裁委員会の活用 (2019.02.19)